2011年1月31日月曜日

『ある小さなスズメの記録』 by クレア・キップス


鳥博士とでも言おうか、鳥を追いかけて世界中を旅している私のスペイン語のクラスメイト、Sさんにお借りした本。

サブタイトルが『人を慰め、愛し、叱った、 誇り高きクラレンスの生涯』 Sold for a farthing


梨木香歩さんの訳 出版社:文芸春秋



1953年にイギリスで出版され、大ベストセラーになったノンフィクション。第二次大戦下のロンドンで、瀕死の状態にある野生の生まれたばかりの小雀を拾った老婦人が、あふれんばかりの愛情で育てあげ、共に暮らし、最期をみとるまでの実話。

調度ブレニンを読んだ後だったので、ブレニンがスズメになったような奇妙な気がした。

このように、相手がオオカミであれ、スズメであれ、人間同士に負けないくらい親密に心を通わす実話を読んでいると、人間同士のコミュニケイションも、これに負けないくらいの努力と忍耐と愛情が必要なのだなあ~とつくづく思うのだ。

このクラレンスは、その時その時の状況や環境を全て受け入れて、工夫し、最大限にそこを楽しいものとする術を知っている。彼は羽に障害をもっているからそこから出ても生きていけないのだ。それを知っていてか、外界に興味を示さない。その代わり自分の居る場所をbest place にする。
その状態が母の今に重なり、彼のように母も思ってくれたら・・・と思うのだ。

やはりスペイン語のクラスメイトのKさんが長年一緒に暮した犬のプーちゃんを亡くした直後だったので、彼女のためにSさんが持って来た本だった。
私もつい、お借りしてしまった。
明日、ブレニンの本を彼女たちに持って行こう!

この本を読みながら、小さな小さなスズメに教えられた色々なこと、先週から歩けなくなった母とも重なって、色々考えさせられた。人間を優しい気持ちで見取るのは、人生にとって最も大きな仕事のひとつなのかもしれない。

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