2011年10月18日火曜日

『自分の始末』と『健全なる肉体に狂気は宿る』



ここのところセットで本を読んでいるような気がする。

軽井沢にはテレビがないので、読書には調度良い。長い夜だが早寝、早起きに自然になってしまうし、読書する時間も散歩する時間もできる。
カーテンが遮光性ではないので、夜が明けると目が覚める。朝が大の苦手な私には、これは驚くべきことであって、しかもなかなか良いものだ。

さて、今回は、曽野綾子さんの『自分の始末』と内田樹さんと春日武彦さんの対談集『健全なる肉体に狂気は宿る』の2冊を読み終えた。両方ともKzさんが面白かったよ、とポイッとよこしたので、何気なく読み始めたものだ。

両者には何となく共通性があって、それが生き方に通じるもので、生きる姿勢に無理がかからない、あるいはかかってもそれを無理と受け取らない受け入れ方みたいな『あるがままの自然さ』のようなものがが感じられた。

曽野さんの始末の仕方には自分が普段考えていることと近いことが多々あり、ふむふむと読んだ。
私は何度か死を間近に感じてきたせいか、神様が与えてくださった寿命を受け入れてくる時が来たら、その時がその時なのだと思っている。だから必要以上に長生きしたいとは思わないし、今日突然その時が来てしまっても、仕方ないと思っている。
自分なりに生きてきたからそれでいい。

彼女が言うように、できればあまり人に迷惑をかけたくないが、それはそれで、そうなってしまったらどうしようもないので、心がけてはいるが、「かけてしまったらごめんなさい」と感謝の気持ちだけは持っていたいとおもうのだ。私は自分にできることをやればいい。

『惚けたり気力が失われたりすると、人はもう段取りをつけることができなくなる。・・・・・・段取りは、意志の力、予測能力、外界との調和の認識、そして何よりも謙虚さ、など総合的な判断が要る上に、たえずそのような配慮をすることで心を錆びつかせないことができる。  家事は段取りの連続であることを思うべきだ。頭の体操にはこれほどいいことはない。』

こんな文章があったが、気に入ったので抜粋しておく。彼女はそれができなくなった時が、自分の人生での一つの転換点と言っている。つまり自分から他に提供できることが少なくなり、むしろ誰かの助けが必要になってくるということであり、その地点からは自分が人に迷惑をできるだけかけないように覚悟をしなければならない時を見極める尺度みたいなものとして設定できる、ということではないかと思うのだ。

この段取りの重要さは、身に沁みている。私は段取りの人なので、自分にこれが出来なくなった時が年貢の納め時ということか。


もう一冊の本は、二人とも結構言いにくいことをずばずば言うので、面白かった。その会話に入っていたら、「それは違うよ、そうとは断定できない」と口を挟みたいことも何度かあったが、そんな気持ちにさせる、自分も会話に入り込んで一緒に考えている楽しさがあった。

先日友人へのメールにも書いたのだが、『取り越し苦労はやめよう』というフレーズが面白かった。自分もその境地にたどり着いたところだから・・・
『人生、一瞬後には何が起こるのかわからないのだから覚悟を持つことだ。全方位的にリラックスして構えているしかない』起きるかもわからないことに多くの時間を割いて悩んでうじうじしているより、その時間をそのときするべきことに回して生きるほうが気持ち良いのはないかと思う。

『身体が感じる違和感に忠実になれ!』 これも最近の私がたどり着いた境地で、とても大切なことだと、特に過敏体質の私は感じるのです。
身体が受付けなかったことを無理やりやってよかったことは一度もない。つまり自分のセンサーを磨いていると、既にかなり初期の段階でぴーんとくるのです。少なくても自分にとって良いもの、良くないもの、絶対に避けるべきもの・・・等が実に良く分かり・・・・とまるでお二人の会話に加わっているような共通意識が存在するのです。

『身体のどこにも無理が無く、詰まりもなく、凝りもない。気持ちがいい状態を探り当てられれば、どのような条件に置かれても、その「いちばん気持ちのいい状態」にまっすぐ戻ることができる。・・・その「安定状態に一気に戻る」動きが爆発的なエネルギーを生み出す。』・・・

自分にとってその気持ちいい状態がどんなコンディションか、そしていつもそういう気持ちに戻れる訓練が必要だとは思うけれど。
でもああこう悩まずに、身体を動かすことが一番かもしれない。
と、この本を読んでいると、楽観的になって妙に気が大きくなり、肝が座ってしまうようなそんな気がするのは私だけではないような気もするが・・・

最後に、人間が精神的に健康である条件について、忘れないように記しておこう。

 ●自分を客観的に眺められる能力
 ●物事を保留しておける能力
 ●秘密を持てる能力
 ●物事には別解があり得ると考える柔軟性

うん、悪くない能力だ。

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