2012年5月1日火曜日

『ヘルプ』 〜 The Help 〜


ひさしぶりに映画らしい映画を観た。
アメリカ映画はここのところ敬遠していたが、今日観た『ヘルプ』は素敵な作品だった。
『カラーパプル』や『ロングウォークホーム』『ドライビングミスデイジー』などと何かしら重なる雰囲気もあったが、その重さを痛快さに置き換えてくれて力強い気持ちのよい作品だった。
それが最初の『映画らしい映画』という表現になった。

私は青山南先生の影響でアメリカ南部に縁があったが、たくさん読んで来た南部の短編や小説にも通じるものがあり、久しぶりに懐かしささえ感じた。
公民権運動やKKKのことなど、色々勉強したが、こうして映画で観ると私の単純な頭でも印象に刻まれる。

主人公のスキーターを演じたエマ・ストーンはとても新鮮でうわついた軽薄さがなくて、この役にピッタリだった。
でも何と言っても印象的だったのは、シーリアを演じた、ジェシカ・チャスティン。今回の掘り出し物だ。
何ともおつむが少しいかれているの?って思わせるような意外な人物なのだが、その憎めない底抜けなチャーミングさがたまらない。
人格者なのか?と錯覚をおこしてしまうほどのこの人の演技力、、、光っていた。
焦点のずれた純粋さが人々の心に嫌みなく染み通って行く。

もう一つ、シシー・スペイセクの惚けたおばあちゃんと、メアリー・スティーンバージェンの出版業界のやり手ミス・スタインはうまかった。この二人が居なかったら、作品の雰囲気が出ない。

こんなにも多数の個性豊かな人材をうまく使いこなした作品は見事だった!
もちろん、エイヴィリンのヴィオラ・デイビスの静かな品位のある奥深さは言うまでもない。
そして、最後が単なるハッピーエンドではなく、職を失ったエヴィリンにはまだまだ先行き命がけの戦いが残されている。彼女は生きていかねばならないのだから・・。
そしてそれを暗示するような、長い長い南部独特の美しい豪邸にはさまれた街路樹をひたすら歩く彼女の後姿が心に残る。

いつまでも見守って応援していたい気持ちにさせるシーンだった。
それにしても、相変わらず駄目やなあ〜・・・南部男は。


0 件のコメント:

コメントを投稿