私の知っている人の中でも際立った読書家のYさんに「湊かなえさんの作品は面白いから〜」と薦められた今シーズンのTV番組が『高校入試』だった。
ちょっとズレた時間帯なので、うっかりしていると見逃してしまうかもしれない。
作家の名前は知っていたが、作品はまだ一つも読んだことがなかったので、好奇心で観始めたら止まらなくなった。元々ミステリーは好きなのだが、これは最後まで真相が表に出て来ないので面白い。
大概の作品はちょっと観ていると犯人が分かってしまうが、この作品はうまく隠されていて、関係する一人一人が一枚のパズルのかけらのように散りばめられてそれぞれのストーリーを持っている。そして全部が集まった時に一枚の完成された大きな絵になり全ての謎がからんだ糸がほどけるように解けるのではないだろうか?
しかも最後のひとかけらにみんなを踊らしている犯人の顔が浮き上がるように印刷されていて「そうだったんだ〜」と思うように・・・。
そして、多分最後の一枚にある顔は、『あの人』だ。
何となく芝居がかっているので、学校を舞台に先生方がそれぞれの教室で演じているのを演劇鑑賞をしているような気分になる。そして、それがいかにも作り物っぽいのに生の空気が伝わって来るのがとても面白い。
一回目にバックナンバーの『青い春』というエンディングのテーマにしびれて、itune-storeで買って聞いている。あの教室がバラバラになって行くバックの映像も、画面に色々なヒントが盛り込まれていて、まるで一枚一枚のパズルが散りばめられているみたいで面白い。
パソコンや携帯など今を象徴している様々な小道具を駆使した演出も実に今をついていて興味深い。若い子たちの蝕まれた心の中は・・・
そして、そこに登場する先生や保護者たちの会話から人間の本性のようなものを引き出して来るのがこの作品にたくさんの問題を提示していて、厚みを加えている。
私の気に入った作品は大体視聴率が低いのだが、今回はどうなのだろう?
そして最後はどのように締めくくるのだろうか?
果たして私の思った『あの人』は当りか、外れか?
ミステリーは人の心をたっぷり含んでいるから面白い。
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