2013年3月26日火曜日

『カラマーゾフの兄弟』 〜インプレッシブ!!

『風のガーデン』以来の印象的なテレビドラマだった。

私はドストエフスキーが自分の原点にあるので、今季のテレビ欄に『カラマーゾフの兄弟』を見つけたときに、「何と大それた!」と腹立たしく思いながら相手にもしなかった。

大作が映画化されて良かったためしがない!『原作で読んであるものは原則、観ない』人だった。(フォレスト・ガンプの映画は良くできていると思う)

普通興味があると第一回目は観るのだが、問題外で観ることを考えもしなかった。

仲良しのHさんは、映画通だし、映画の好みも良く合うのだが、彼女がある日
「カラマーゾフの兄弟観てる?とてもいいわよ」と教えてくれた。
「へえ〜、ほんと?軽率じゃない?私あの作品大好きなの、だから汚されたくなくて・・・」と答えた。

家に戻って、Kzさんに話して、フジテレビのオンデマンドでシリーズ視聴に登録した。

「が〜〜ん!!!」印象的だった。

丁寧に、注意深く、綿密に作られている。
作り手が作品をよく理解していて、恥ずかしくない仕上がりになっている。

舞台も時代も状況も全く違うのだが、一つの作品としてとても興味深く完成していた。
Hさんが「舞台を観ているみたい」と言っていたが、本当に演劇を同じ空気を共有しながら観ている感じだった。

イワンこと勲君が、私の原作からのイメージとはかなり違っていたが、追いつめられて行くに従って、どんどん研ぎすまされてきて、頬がこけて目がどんどん透明感を増して輝いてきて、まるで何かがのり移って来ているような印象さえ持った。

原作のイワンよりもっとピュアーでナイーブでむしろ原作で私が受けたアリョシャのイメージがミックスされている感じがして、それはそれで見事だった。

何度か作品は読んでいるのだが、歳をとってから読んでないので、もしかしたら読み違えているのかしら?と思われる点がいくつかあるので、もう一度新訳で読み直してみようかと思っている。
そうしたら、又コメントを書こう。

ところで役者さんがみんなこちらを引き込む程に真剣で役に成りきっていて、その空気が伝わってくるので、こういうのは大好きだ。

お父さんと、刑事さんは呆れるほどやってくれた。
演じていて気持ちよかったのではないだろうか?

市原君は魂が抜けなければいいが・・・燃え尽きないように祈りながら次の作品を期待している。
ミーチャの斉藤君は毒もピュアーもできる実力派、アリョシャの林君も作品によって別人!・・

番組が終わってしまって残念に思いながら、からすの鳴き声とローリングストーンズの"Paint it black"が頭を回って困る私だ。


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