2013年11月28日木曜日

ロン・カーター アメージングトリオ 〜のはずが、カルテットになってしまった(>.<)

『ルイジアナの夜明け』という映画を観た時、そのバック音楽に強く惹かれた。
それが、私のロン・カーターとの最初の出会いだった。


彼のベースの音は、私の胃袋を揺らした。

そのロン・カーターの演奏をナマで聞けるというので、頑張ってチケットを取った。
その日売り出しのもう一つを棒に振ってまで、頑張ってチケットを取ったのだが・・・


昨夜は、楽しみにスウィング・ホールへ出かけた。
彼の気品と、穏やかさと、大きさが好きだ。

"ロン・カーター アメージングトリオ"というので、大いに期待して行ったのだが、何故かトリオではなく、もう一人日本人(井上智ギター)が加わってカルテットになっていた。

スペシャルゲストということで、少しだけ出演するのかと思っていたら、最初から最後までステージのど真ん中で一緒に出演し、まるで彼の為の演奏会のような感じがした。
私はそんなにジャズに詳しくないから、彼がどれくらいその世界で評価されているのかは知らない。しかし、その雰囲気をぶち壊していたと感じたのは私だけだろうか?

私はジャズでアコースティックギターが入るのは嫌いだ。
全体の音がすごく軽くなってしまい、渋みが全くなくなってしまう。そして、私にとってのジャズの良さが半減する。
人の好みはそれぞれなので、それは自分が選択して聞けば良いことで・・・

しかし、ライブは別物だ。
そこに演奏者の姿があり、ステージの上ではかもし出す空気があるからだ。

トリオは、ゆったり気負うこと無く、笑みを浮かべて気持ち良さそうに演奏していた。音も3人は息が合っていて、とても素敵だ。

しかし真ん中の井上さんは一人だけ気負い過ぎて、力が入り過ぎて、その辺のおじさんサラリーマンが会社の帰りに名立たるプロのミュージシャンの中にいきなり加わったみたいな、せわしい空気を運んできた。

一人だけ、メチャクチャ力の入った真剣そのものの没頭したしかめっ面顔で、身体の揺らし方がとにかく忙しい、みんなが笑みを浮かべてゆったり演奏しているから余計違和感が漂う。
オオゲサ過ぎる合図の入れ方(露骨過ぎてまるで楽屋裏の練習みたいだ、普通は目配せ程度でしょ?)、トリオに比べて感性が違い過ぎる演奏、まるで昔のエレキギターだ・・・悲しい程の違和感が漂って、私は舞台を観ないように音だけ聞くか、ひたすらギターのアコースティックな音が消えることを祈りつつ、彼が目に入らないようにすることで疲れてしまった。寛げない、気が散る・・・やれやれ

ピアノの、ドナルド・ヴェガもドラムスのルイス・ナッシュも申し分ない。
井上さんはビデオを撮って、自分の存在を見てみるといい、そうすればステージをぶち壊しているのが分かると思う。

3人とも合わしてくれているのが・・・

演奏の技術はあるのかもしれないが、感性が追いついていない。まるで、理論と技術でこなしているみたいでレベルが違い過ぎた。解け合わないことの辛さ。

ロン・カーターはまるで瞑想をしているみたいに、ずっと目を閉じたまま演奏していたが、何を考えていたのだろう?

そんなわけで、ロン・カーターのベースは堪能したが、できればトリオで聞きたかった。

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