2011年8月30日火曜日

『グッド・ハーブ』 ~Las buenas hierbas~

グッド・ハーブ "Las buenas hierbas" を観に行ってきた。

前回の映画はヘルペスの真っ最中で、治りかけと信じていた頃に観た、『91歳のおばあさん』のやつだから、久しぶりの映画だった。

これも、老いがテーマ。
最近頭の中は老いと人生の終わらせ方と認知症で占めているから、どうもこういう映画が多くなる。
でも、パトリシア先生のお薦めだけあって、秀作だった。

監督は、メキシコの女性監督で、マリア・ノバロ。
男社会のメキシコでは独特で、女性を主役にした作品を作る監督というポジションを維持しているらしい。



難しい映画だった。
観客の教養のレベルと感性の豊かさが要求される。多分そういう知識の無い外国人にはむしろ少し退屈に感じるかもしれない。

メキシコでも有数の民族植物学者である薬草の研究者、アルツハイマーに侵されるララという母親、コスモというメチャ可愛い男の子のシングルマザーでラジオ局のパーソナリティ、ララの娘のダリア、そして近所のおばあさん、孫娘を15才で殺されてしまった心の傷を背負って一人で暮しているブランキータの3人の女性が柱になっている。

ハーブのこと、メキシコのアステカ文化のこと、メキシコの社会のことをもっと知っていると、もっともっと深みが増してくると思う。

私はハーブが好きだし、アルツハイマーの母親を抱えているし、先生はメキシコ人で、少しはメキシコのことも分かる。 この映画を観るべき要素はたっぷりだ。けれどこの映画が分かるにはまだまだ足りない、だってあまりにも色々なことが含まれ、隠れているからだ。
特に薬草のことはもっと分かるといいなあ~と思った・・・と『もっとづくめ』

映像と、ラジオ局の同僚二人が奏でる音楽とハーブの美しさと、それだけでも浸っているには十分かもしれない。

生と死、生き方と死に方、強さと優しさ、苦しみと喜び・・・相反するペアが無数に織り込まれ、けれどそれらは対立するものではなく、お互い内包し合うものだと、そんな思いで戻って来た。

母もアルツハイマーが進むと私のことが分からなくなるのだと思う。
やはり医者が言うように、「家族を認識できる期間をできるだけ伸ばしてあげたいですね」今の私にできることは、優しさを持って、心からの敬意を表しながら記憶のある日々を幸せに過ごしてもらうことなのだろう。
次のステージはいつ頃来るのだろうか?

有数な民俗植物学者でもなってしまう認知症、原因は何なのだろう?
幸せに暮していても、依存心がなくて独立していても、家族がいても、いなくても・・・・

自分にもやがて訪れる世界、謙虚に心穏やかに受け入れられるよう、その日まで気持ちよく生きよう。

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