2013年10月30日水曜日

『ガラスの家』 〜父親vs息子

初回を観た時、まだ何も知らない私は、思わせぶりなオープニングの罠にはまって、『多分あの二人は、これからあの崖から飛び込んで心中するのだろうな?』と最初に結論を見せられたような気がしていた。
丁度、山崎豊子の『運命の人』のモックンみたいに飛び込んでしまうと・・・



純愛物だっていうから、『人形の家』みたいに女性の自律物をベースに、それを長男が助けるメロメロのメロドラマかと思って覚悟していたが(実はメロドラマ嫌いなのだ)、何となく井川遥の美しさに惹かれて観ていたら、次第に面白くなり、結構ハマって最後まで観てしまった。
そして、むしろ平行した『父親vs息子』という永遠のテーマのパートの方に惹かれて行く自分がいた。

『安堂ロイド』の柴咲コウを観て、落着いて奇麗になったなあ〜と感心したのだが、井川遥も数年前一回り痩せてからとても美しくなったのを感じていたが、やはりこの番組で主役をはれるほど美しくなっていたのだ。
若い頃とは違う魅力が出ていて、小道具の花々に負けていなかった。
女優さんはすごい!

大石静は『ふたりっ子』から私の注目する脚本家になった。
ふたりっ子は本当に面白くて、ダレること無く緊張感が保たれ、一回たりとも逃さずに観た。

けれど、『セカンドバージン』は私にはむしろ退屈でどうってことなかったので、今回はあまり期待していなかったのだが、、、『お天気お姉さん』の脚本が面白かったので、もしかしたら行けるかな?と思ったりしていたが、行けた!!

二人の息子があの執拗な父親の呪縛からどのように解放されるのかが一番興味があった。
(ヒトシ君(斉藤工)がダブるせいかもしれないが、父親像が『カラマーゾフの兄弟』に重なった、父親vs息子の戦い)

そして、その自立を支えたのが二人の女性、ナナミちゃんと黎さんだった。
菊池桃子の尾中さんもそうだが、女は強い!

ナナミちゃんは、何度読んでも読めない名前のお姉さん、梅舟惟永(『うめふねありえい』と読むのだそうだが仮名をふっても読めない私)さんという女優さんで今回はとても良かった。私は映画を観る度に、一つの作品に一人の掘り出し物を見つけるのだが、今回はナナミちゃんだった。
彼女は、『お天気お姉さん』にも出演していたが、独特の存在感があって面白い女優さんだ。

弟のケンジ君が父親にナナミちゃんと結婚すると言った時、父は許さないと答え、
ケンジ君は、「それでいいよ」と平然と答え、「それでも僕たちは結婚するから」と全然力まずに穏やかに付け加えた台詞がすごく効いていた。
「おっ、親離れしたな!お父さん、あんたの負けだよ!」って。

彼の、温かくもあり覚めた目が、作品を締めている。

最後に黎さんとヒトシ君が崖から飛び込まなくて、本当に良かった。
最終回は、興味津々で多分初回の印象からどんでん返しがあるに違いないと期待したが、あたりまえで、みんながそう願う読み通りの結末にはなったけれど、とても爽やかで気持ちがいい。

そう、今の自分に重なるところがあって、ああいう選択ができるカップルがちょっぴり羨ましかったりして・・・


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