2012年9月3日月曜日

映画まとめて8本〜その② 『八月の鯨』『オリンダのリストランテ』『オーケストラ』

8月のお盆休みは、私には学校もないし結構『夏休み』と言える大事な休みだった。

お正月とGWとお盆休みしかまとまった休みのないKzさんにとって、今回はお盆休みが少し長く取れる大切な期間だったので私は少し期待していたのだった。いつもはせいぜい長くて3連休なので。

お正月は来客など忙しくて休めません。GWは細切れなので駄目。今回のお盆休みは珍しく・・・

しかし、甘かった、ソラさん!
Kzさんはどんとかまえて、全く家から出る気配無し。
「混んでいる時は外に出たくない」といつもの台詞。

それが、全く、全く以て外に出ず、私はほぼ1週間お三どん婆さんとしてこき使われ続けたのです。外食にも行かず、映画にも美術館にも散歩にも行かず、もちろん旅行なんて問題外・・・おまけに家の中は気迫の失せた旦那の重苦しい空気。

夜はうなされて寝言で起こされ、時々暴れてげんこつが飛んできます。(いくら夢の中でも許されない事もありますので)
昼は、「お茶いれて」、「コーヒーは?」、「お昼まだ?」・・・おいおい

ついに幾日目だったか、私がイライラし始めたのを察してか、ビデオでも借りに行くか〜とビデオ屋さんに行きました。
そして借りたのが:『八月の鯨』『オリンダのリストランテ』『オーケストラ』の3本です。

KZさんと一緒に映画を観ても直ぐにいびきが聞こえてくるので面白くないのです。おしゃべりが嫌いだから終わった後の感想もあまり言えないし・・・でも家の中ならばいびきや寝言が聞こえても人目を気にしなくてもいいから、まだいいか・・・


『八月の鯨』

これは、以前Kevinのクラスで "Now voyager" という映画をやった時に、まだ若い頃のベティ・デイビスが主演で、その時に他にもこんな映画があると言われたのと、何人かの人に「八月の鯨観た事ある?」って聞かれたので、一度観てみたいと思ったからです。

作品としては、ジュディ・デンチとマギー・スミスの『ラベンダーの咲く庭で』を思い出させる雰囲気でした。当時この作品とそっくりの事件がヨーロッパで起きたので、よく覚えています。でもお年寄りばかりの出演なので、記憶をなくした若き音楽家に姉妹二人で思いを寄せたりしないので、比べるとだいぶ静かです。

出演はおじいさん、おばあさんばかりで、でもしっとり味わい深い作品でした。案の定退屈だったのか、Kzさんは直ぐにいびきをかき始め、ほとんど眠っておられました。

当時90歳のリリアン・ギッシュがけなげで可愛らしいおばあちゃん役で輝いていました。丁度ポーランドの映画『木漏れ日の家で』の当時91歳のダヌタ・シャフラスカを思い出し、女優魂をここでも感じました。
肝腎のベティ・デイビスは相変わらずの大きな目をしていましたが、相変わらず憎たらしく気難しく、もしかしたら地のまま?と思いました。



『オリンダのリストランテ』

リストランテと書いてあったので、イタリア映画だと思って借りて来たら、アルゼンチン映画でした。これが今回の3作の中では一番でした。
監督は、パウラ・エルナンデス、主演は、リタ・コルテセ。

オリンダはイタリア移民でアルゼンチンのブエノスアイレスで小さなレストランをやりながら暮らしている。少し人生に疲れて来ていて、レストランをやめようかと思っている時に、ドイツ人の変な男の子が恋人を追ってやって来るのだが・・・

食材やお料理がとても美味しそうで、画面を見て味を感じてしまうところなど、自分は食いしん坊なのだなあ〜と実感。

一番好きなシーンは、オリンダの常連客で夫婦なのかな?と思わせる絵の上手いおじさんがいるのだが、オリンダがイタリアへ行ってしまう前に、下宿人兼カマレロのドイツ人の男の子がそっとそのおじさんをオリンダの部屋に連れて行くと、その壁一杯に彼がナプキンやランチオンマットなどに書いたスケッチがぎっしりと貼られて埋まっている。

その、貼られた絵の壁が素敵で忘れられない。

見終わった後味がとてもいい。
働きずくめで自分がイタリア移民だったことも忘れ始めていたオリンダの再出発の姿がとても素敵だ。

幸せバズルもアルゼンチンの女性の再出発の映画だったが、おばさんが主人公なのも、なかなか素敵だ。


『オーケストラ』

これは、二年程前だったか、日本で上映されていたときに行こうと思って行けなかった作品だ。
ロシアの映画で、ラデユ・ミヘイレアニュ監督、アンドレイ役のアレクセイ・グシュコフ主演。美しいバイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロランがとても素敵だ。

あれ、この痛快さ、喜劇だったの?と思わせるような、あのロシアでこんな作品作ってしまっていいの?よく通ったねえ?と思わせるような箇所がたくさんだ。風刺の聞き方が普通ではない。

目的があれば、人生こんないい加減さで突っ走ったら面白いのかもしれない。
ちょっとうまく行き過ぎているけれど、背負っている歴史の背景はとても重いけれど、、、。
楽団員のしたたかさと最後のまとまりを観たら、のだめと千秋さまのオーケストラを思い出してしまった。音楽はどんな重さを背負っていても、こんな奇跡みたいなことが許されるのかもしれない。

それにしても、あのロシアで・・・

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