詩はKzさんの範疇なので、あまり関わらないのだが、スペイン語の友人Kさんのお薦めでこの本を読んだ。内戦の勉強をした後だったので、とても良い勉強になった。
中丸明さんの『ロルカ— スペインの魂』
中丸さんの本は、『スペイン5つの旅』に続き2冊目。
スペイン語をやっていると至る所で詩人と出会う。
前回の夏講座『蝶の舌』では、アントニオ・マチャードだったし、『モーターサイクルダイアリーズ』では、パブロ・ネルーダだった。
特にロルカはちょっとした引用でも、本当に接する機会が多いスター的存在だった。
それなのに、私はロルカのことはほとんど知らなかった。
中丸さんの語り口はちょっとお下劣でスペイン感みなぎりとても楽しく、軽く書いているのに、実に的確なシリアスなことが伝わってくる。
文章をわざと難しくしないで、噛み砕いてくださるので、単純な私の頭脳でもすっと入ってくるので有り難い。時々、「言い過ぎ!」(demasiado!) なんて作者に声をかけて笑ってみたりしている。
ロルカ (Federico García Lorca)は内戦の勃発直後、グラナダにて38歳で銃殺されている。(1936年)
これを知ったとき、時代は少しずれるが、やはり39歳で銃殺された革命家チェ・ゲバラを思い出した。(『モーターサイクル・ダイアリーズ』も良かったなあ〜)
二人ともある意味で英雄的存在なのだ。
それなのにフランコ政権の間、ロルカの名前は禁句だったらしい。
前述の『蝶の舌』や『メキシカンスーツケース』でも述べたが、内戦は人々から言葉を奪った。口を閉ざさるをえなかったのだ。
冒頭の、ロルカの言葉:
『スペインは、死が国民的な見世物となる唯一の国なのです』
は、色々なことを物語っている。
最後まで、
何故ロルカが殺されなければならなかったのか?
何故、ロルカは無防備にもわざわざ危険なグラナダへ出向いたのか?
という問いの答がなかなか見つからなかった。
芸術家として才能を発揮し、思う存分に生きただけなのだが、そのスター性故に影響力を持ち過ぎて誰かの勘に触ったのかもしれない。
あるいは、社会情勢がどうであれ彼自身、自分としてナチュラルに生きていただけで、全く危機感がなかったのかもしれない。
この冬は、内戦時代の芸術家たちの勉強になる。色々な問いの答えが見つかるのだろう、楽しみだ。
アンダルシアの空気とフラメンコギターの音色を感じながら、もう一度ロルカの詩を読み返してみよう。
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